2018/05/07
2022年、住宅用地が市場に大放出!?不動産投資にどんな影響が?
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生産緑地法は住宅不足から生まれた

不動産の世界では2020年オリンピック以上に甚大な問題と目されているのが、2022年の生産緑地大解放」だが、これは不動産投資家にも大きな影響を与えそうだ。2022年前後で投資戦略が大きく変わるかもしれないのだ 

 

生産緑地法は1974年に公布され、当時は住宅不足が問題となっていたため、市街地区域内の農地の宅地化を促進する目的で、都市部の農地を宅地化する方針が示された。その後1992年の改正で、市街地区域内の農地は「農地としての管理が求められる生産緑地」と「宅地に転用してもよい農地」に振り分けられ、生産緑地に指定されると固定資産税の軽減や相続税の納税猶予などの優遇措置が提供されてきた。この減税があったから、多くのハウスメーカーや不動産業者から「土地を売りませんか?」と口説かれても「農地は売らん」と拒否し、多くの緑地や農地が残されてきたわけだ。 


2022年以降は土地所有者は民間に売却できる

しかし、この1992年施行法の期限は30年後の2022年。2022年以降は、所有者が高齢や病気等で農業に従事できなくなったり、死亡したなどの場合、所有者もしくは相続人は市区町村の農業委員会に土地の買い取りを申し出ることができる。自治体が買い取らなかったり、買い手がつかない場合は、所有者は民間のハウスメーカーや不動産業者に売却できる。財政難の自治体が多いから、農地の多くは市場に放出されるのではないかと予測されている。 

 

そうなると、どうなるか。農地は比較的大きいため、固定資産税の優遇が外されると、固定資産税は数百倍に跳ね上がり、相続税も大きな額になる。所有者や相続人は納税に耐えられず、売却せざるを得なくなる。農地なら一定規模の広さがあるので大手や中堅のハウスメーカーやマンションデベロッパー、パワービルダー、不動産業者あたりが資金力で仕入れるだろう。 

 

広い敷地で立地がよければマンションデベロッパーがマンションを、郊外で小規模の敷地であればハウスメーカーやパワービルダーが敷地を一戸建て用地として分割して、分譲戸建てや分譲地として売り出すだろう。ただし、長く戸建業界にいた筆者の感覚から書かせていただくが、いま「庭付き一戸建て」を経済的に買える若年層ファミリーは減っている。晩婚化、非婚化、持家神話の崩壊、長期ローンへの回避、少子・非出産化(戸建購入は長らく子どもの誕生・成長がきっかけであり続けてきた)、若年層の雇用の不安定化・非正規化・収入の不安定化……など戸建が売れにくくなっている理由を挙げたらきりがない。 

放出された土地に林立するのは賃貸アパート?

そういうこともあって、ハウスメーカーやパワービルダーは一戸建て建設からアパート建設に大きく方向転換してきた。土地を除いた建築費だけで億単位になることも少なくなく、建設利幅が大きいこともあるが、背後に「土地の上にアパートなどを建てれば固定資産税や相続税評価額が大幅に下がる」税制があったのも事実だ。2015年の相続増税以来、業界全体が賃貸住宅建設に熱く注力してきたわけだが、これは入居者や市場ニーズというより、土地オーナーの減税享受ニーズと業界ニーズでしかなかったから、当然のことながら空室率は急上昇し、入居者争奪戦は激化している。 

 

そう、ここで読者である不動産投資家の皆様にも影響があることは気づいていただけただろうか。ただでさえ少子化で賃貸経営が厳しさを増している流れの中で、2022年以降さらに、大量のアパートや賃貸マンション用地が市場に流れ込んでくるということだ。ハウスメーカーやパワービルダーは建設費で利益を上げるビジネスモデルのため、家賃保証などはうたっていても本当に需要に見合う建設なのかどうかは気にしない。かつて農地だったところにバンバン、賃貸アパートが建つことが予想される。 

2022年で不動産投資戦略はどう変わる?

供給が需要を大幅に上回れば、当然のことながら賃料は下がり、当初の事業計画がそのままいくとも限らず、下振れの可能性も濃くなる。ハウスメーカーあたりが土地を仕入れてアパートを建てて1棟売りなどというケースも出てくるから、不動産投資を始めようという「買い」の投資家には安く投資物件を買えるようになるかもしれないが(イニシャルコストは低い)、家賃は低空飛行に甘んじなければならず投資回収が長期化する可能性もある。 

 

以上はあくまでファミリーオフィス編集部の予測であるが、このロジックで行けば、2022年以降は安くなった物件を買い増ししたりするのはいいが、所有物件の売却によるキャピタルゲインは狙いにくく、売却するなら2022年までに済ませ、資金をプールしつつ2022年以降に買い増すといった戦略も1つの方向性ではないだろうか。また2022年以降に賃貸収入で利益を得ていくには、ジャブジャブ溢れている市場の中で相当の「勝ち物件」をピンポイントで見極める目が一層求められていくということも言える。 


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(ファミリーオフィス編集部)

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