2017/08/10
民法120年ぶり改正!(上)地震・豪雨で購入建物が滅失したらどうなる?
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民法制定以来、120年ぶりに債権部分を抜本見直し
企業や消費者の契約ルールを定める債権関係規定(債権法)に関する改正民法が、2017年6月9日に公布された。民法制定以来、約120年ぶりに債権部分を抜本的に見直し、公布から3年以内に施行されることになった。改正は約200項目に及ぶが、ここでは不動産取引・不動産投資に関するものについてピックアップしよう。

例えば、購入した投資物件が契約前後で滅失した場合どうなるのだろうか? 
最近は地震や豪雨など自然災害も多いし、先日の築地のように密集市街地では貰い火などによる火事に巻き込まれる可能性もある。絶対に自分の投資物件が巻き込まれることはないと断言できる人は都市部でも地方でもいないだろう。

また都市部でのインバウンド需要が一巡した後は、あえて日本の地方都市や自然を味わってもらおうと、地方に民泊投資物件を購入する人も増えてくる可能性がある。
今回の改正はそうした意味で不動産投資家に十分関係ある話である。

建物滅失時、売主責任の有無関係なく契約解除できるように
さて本題に移ろう。履行障害とは「契約を結んだがうまくいかなくなった場合」のこと。
たとえば売買の目的とされる建物が滅失した場合、建物を買ったけど欠陥があった場合、売主と買主の関係はどうなるのだろうか?

→買主は(売主に落ち度があったかどうか事情の如何に関わらず)契約を解除できる。
(従来民法:買主は売主の責めに帰すべき事由によって建物が滅失した場合は解除できる)

これまでは売主の責任を明らかにしたうえで解除したり損害賠償できたのだが、その責任の所在は別として、原因がどうであれ買主は契約を解除できるようになったということだ。

→買主は売主に免責事由がない限り、損害賠償を請求することができる。(従来民法:買主は売主の責めに帰すべき事由がある場合に限り、損害賠償を請求できる)

これらは上記の建物が滅失した「あらゆる場合」に適用される。すなわち、「契約前」「契約後」「売主に責任あり」「売主に責任なし」を掛け合わせて4つの場合が考えられるが、今回の民法改正はこれらすべての4ケースが全て対象になる。
別荘が売買契約したあとに山火事にあったら…
例えば、軽井沢にある別荘の売買を東京で売買契約書にサインしたが、知らないところで山火事にあって滅失していたという「契約前の滅失」もありうる。これまでの民法の解釈では「建物滅失が契約締結前だったら契約は無効」とされてきたが、今回の改正で「契約は無効にならない」ということになる。

「契約が有効のままだと買主から代金請求されることになるのでは」と不安になる不動産会社も多いと思うが、前述のように、売主に責任があるにせよないにせよ、買主は契約解除できるわけだから、滅失してしまった建物の代金を請求されることはないだろう。

当然ながら、滅失が契約締結前の売主の失火(タバコなど)によるものだったとしても、契約は無効にならない。

例えば滅失が契約締結後の災害(落雷、もらい火、地震)によるとしたら、従来の民法では危険負担の問題とされ、買主は代金を支払わなければならないとされてきた。法律上は買主は燃えてなくなった建物の代金を支払わなければならなかったのである(民法534条)。
しかし実務では99%「契約締結後、引渡し前に建物が滅失したら買主は契約解除できる」という条項が入っているため、534条が現実に適用されることはほぼなかった。

もともと「建物が滅失したら代金債務は消える」(民法536条)があったのだが、今回の改正では「買主は代金支払いを拒むことができる」(新536条)という条項ができあがった。
民法が業界慣習に近づいてきた
今回の民法改正は、これまで業界慣習的に行われていたことを明文化したということだ。この改正で不動産業界にトクになることも不利益になることもなく、また投資家が取引がしにくくなることも、不動産会社が仕事がやりにくくなることもないのでまずはご安心いただきたい。
民法が業界慣習に近づいたという理解をいただければ分かりやすいだろう。

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(ファミリーオフィス編集部)

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