2017/04/04
1棟賃貸物件を買う時の注意!  入居者は簡単に出て行かない
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民法では、賃借人は登記しなければ「出てけ」に対抗できない

「借地権付き物件はお買い得?」シリーズで、土地を借りて建物を建てている借地人は手厚く保護され、なかなか契約解除できないという話を書いたが、土地を借りていなくてもその上の賃貸を借りて住んでいる借家人も手厚く保護されている。いわゆる、不動産投資で賃貸経営をすれば当然ながら、不動産投資家は「借家人」を何人も抱えることになる。今回はその「借家人保護」についてみていこう。

 

不動産投資でよくあるのは、入居者が既に住んでいるアパート・マンション付1棟物件を買うケース。たとえば投資家Bが持っていた土地付き1棟物件を投資家Aが買った場合、以前から住んでいた入居者Cはどうなるのか?


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本来、土地にせよ建物にせよ、賃借人が新オーナーに「出てけ」と言われないためには、土地なり建物なり不動産賃借権を登記しなければならないとされている(民法)。しかし、賃貸人(オーナー)には登記に協力する義務がないため、この不動産賃借権が登記されることはほとんどない。この民法では、登記がかなわない賃借人の立場が守られないため、借地借家法により、いわゆる賃貸に済む賃借人の立場が強化された。


借地借家法では、賃貸の鍵を渡していれば法的に住み続けられる
借地人(土地を借りて建物を建てている賃借人)の立場が保護されているのは先のシリーズ記事で述べたが、建物(賃貸アパートマンション)を借りている借家人(賃貸入居者)は、「①建物の賃借権が登記されている場合(民法)「②建物の引き渡しがあり鍵が渡されている場合(借地借家法)」のいずれかがあれば、賃貸人(オーナー)に対抗力をもつ、つまり新オーナー「出てけ」と言われても拒否し合法的に住み続けることができるということだ。

 

①の登記はほとんどレアケースのため、②が主になる。当然、賃貸入居者は鍵を渡されているので、その時点で旧オーナーに対しても新オーナーに対しても「堂々と住み続けることができる」わけだ。

借地借家法では借地契約期間は最低30年以上と述べたが、借家契約も20年を超えて契約でき、更新されるとまた20年契約期間が続くのでこちらも随分長い。土地建物に限らず、民法では一般的に賃貸借契約は20年までとされているが、借地借家法では「20年超」と借主保護を強めているわけだ。


また、1年未満の契約期間を定めると「期間の定めのない賃貸借契約」となる(ただし定期建物賃貸借契約は除く)。「期間の定めのない賃貸借契約」とは、当事者の解約申し入れがあるまではいつまでも賃貸借が続く契約のこと。賃借人からの申し入れなら3か月後に、賃貸人からの申し入れなら6か月後に契約終了するが、賃貸人からの解約申し入れや更新拒絶には正当事由が必要なため、なかなか認められにくい。

 

ちなみに、この場合、買主Aと売主Bは「地主兼賃貸人」であるが、賃貸人B→Aにオーナーが代わっても賃借人(入居者)の承諾はいらないとされているので、入居者Cは知らされないまま賃貸人(オーナー)がいつの間にか代わっていたということもあるかもしれない。

 

以上を見てみても、投資家Bから投資家Aが賃貸を買ったのを機に、リフォームリノベーション建て替えをしたいと思っても、上記のような賃借人保護をクリアする必要があるということを念頭に置いておきたい。


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(ファミリーオフィス編集部)

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