2016/05/04
【弁護士が解説!】賃料滞納に対する対応
このエントリーをはてなブックマークに追加


賃料滞納に対する契約書上の対応
購入した賃貸不動産の経営にあたって,オーナーが最も関心を持っているのは,「空室」と「賃料滞納」の2つです。今回は,そのうちの「賃料滞納」について,その問題点と取るべき対応について検討したいと思います。 

賃料滞納は,オーナーが頭を抱える典型的な問題の1つです。賃料滞納があっても,それが一時的なものであって,その後,賃借人から滞納した賃料を全て支払ってもらえるのであればよいのですが,賃借人が賃料滞納をすると,その後も賃料の支払いをしてくれないケースが多くみられます。
このような場合には,賃貸経営上,そのような賃借人との契約関係を解消して,直ちに他の賃借人を募集して,新たに賃貸借契約を結んだ方が得策といえるでしょう。そこで,賃料の支払を滞納し始めた賃借人との賃貸借契約を速やかに解消するために,オーナーとしては,賃貸借契約において,賃料滞納が○か月間続いた場合には,賃貸人は,賃貸借契約を解除できる等と規定しておくのが一般的です。例えば,1か月賃料を滞納した場合には,賃貸借契約を解除できる,との規定を置いていた場合には,オーナーは,賃借人が1回でも賃料滞納をした場合には,契約を解除して新しい賃借人を募集できることになりそうです。

契約解除は容易ではない
では,上記のような1か月賃料を滞納した場合には,賃貸借契約を解除できると規定していた場合,当然に賃貸借契約を解消できるのでしょうか。 

ご存知の方も多いと思いますが,上記のような規定を置いていたとしても,実は当然に賃貸借契約を解消できるわけではありません。賃貸借契約は,売買契約のように売り買いが終われば目的が達成するような1回的な契約と異なり,契約締結後も不動産賃貸借をし続ける継続的な契約です。賃貸借契約の当事者間には一定期間,契約を継続していく信頼関係があることが前提となっていますので,契約を解除する際には信頼関係が破壊されていると認定できる必要があります。賃料を1回支払わなかったとしても,それだけで賃貸人と賃借人の間の信頼関係が破壊されたとは通常言えないため,1か月賃料を滞納した場合には,賃貸借契約を解除できると規定していても,契約の解除は難しいのです。
賃貸借契約を解除した後の問題
例えば,3か月賃料を滞納した場合には,賃貸借契約を解除できると契約書上規定しておいた場合,賃借人の賃料滞納で契約解除できたとして,すぐに新たな賃借人を募集できるでしょうか。 
契約を解除した場合であっても,その後,賃借人が立ち退かない場合もみられます。賃借人が賃料を滞納する場合,もはや賃借人にはみるべき財産がない状況であるケースがほとんどですので,解除したとしてもそのまま居座れるだけ居座り,賃料を一切支払わない賃借人も多いでしょう。このような場合には,弁護士に依頼して裁判手続等によって立退きを実現させることが考えられますが,裁判手続の場合,解決までに相当な日数がかかりますし,また裁判費用,弁護士費用もかかりますので,賃貸不動産経営上,大きな負担が発生します。
賃貸借契約解除後の問題解消方法
この点,契約時において,信頼できる方に連帯保証人になってもらい,いざ賃料の未払いがあった場合には連帯保証人にも請求できるようにしておくことが通常行われています。 そして,最も問題なのは,賃料滞納後にオーナーとして適切な対応をすることにあるのですが,適切な対応をすることは容易ではなく,実際に適切な対応ができていることはそれほど多くありません。
例えば,上記の例のように賃借人が賃料を支払わずに居座っている場合,賃借人が早急に出ていくことにおいて利害が一致する連帯保証人に協力を仰ぎ,賃借人の立退きに協力してもらうことも検討すべきでしょう。連帯保証人が,賃借人の親族である場合には,賃貸人であるオーナーの話には耳を貸さないものの,親族である連帯保証人には迷惑を掛けたくないため,連帯保証人の話は聞くというケースが多くみられます。このような場合に備えて,連帯保証人は,経済力以外の点も踏まえて,契約時に選定しておく必要があるといえるでしょう。 賃借人が賃料を滞納したときの対応としては,考えられる事象の発生を検討した上で,契約当初に適切な契約を結んでおくといった契約当初の対応も非常に重要なのです。


吉川綜合法律事務所 

このエントリーをはてなブックマークに追加


(ファミリーオフィス編集部)

キーワード検索

タグ一覧
タグを全て表示 »
« タグを隠す