2015/11/13
マンション傾斜問題よりも消費者が注目すべき「修繕積立金不足マンション」の実態とは?
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増加する「修繕積立金不足マンション」

未だに世間を騒がせている、大手デベロッパー分譲マンションでのくい打ち工事データの流用問題。この問題が明るみに出たことで「他人事ではない」「今住んでいるマンションは大丈夫なのだろうか」と不安に思う消費者も少なくないだろう。この機会に、自分のマンションの構造を再確認する人もいるかもしれない。


しかし、マンションの「深刻な問題」はそれだけではない。むしろ、もっと多くの消費者に関係し、対策が遅れれば破綻マンションを抱え込みかねない大きな課題がある。それは、「修繕積立金不足マンション」が増加しているという事実だ。


資産価値がゼロになる危険!?

実はいま、マンションを建ててから10年、20年後に必要となる大規模修繕に対し、積立金が足りない物件が増えている。新築物件を買う時に「月々の修繕費が安いな」と感じたり、中古でお得だと思ったりしても、購入後に100万円単位の追加費用が発生する場合もある。

だからといって、維持・管理や修繕が適切に行われなければ、外壁がはがれてけが人が出るなど、住民が損害賠償責任を負うリスクが生じ、居住環境はもとより、周辺にも悪影響を与えかねない。そのような「管理不全マンション」も今以上に増加するとも言われているのだ。


ただ、この問題自体は今に始まったことではなく、以前からマンション管理に無関心な消費者が多いことは指摘され、広く認識されてきた。とはいえ、このままでは、いずれ住んでいるマンションが老朽化しても修繕もままならず、スラム化して資産価値がゼロになる危険がある。

「約1.365倍」に跳ね上がった修繕積立金

マンションは当然のことではあるが、定期的に修繕しなければならない。鉄部塗装は4年ごと、外壁、バルコニー、屋上、廊下は12年ごと、給排水菅、ガス管、電気設備、給水設備、エレーベーターは20~30年ごとの修繕が求められる。

国土交通省が「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」に示した、必要な修繕積立金の額は以下になる。


【階数:15階未満、広さ:5,000m2未満】

218円/m2(1ヶ月あたり)


【階数:15階未満、広さ:5,000m2~10,000m2未満】

202円/m2(1ヶ月あたり)


【階数:15階未満、広さ:10,000m2以上】

178円/m2(1ヶ月あたり)


【階数:20階以上】

206円/m2(1ヶ月あたり)


これは、マンションの共用部分に関して、新築から30年間に必要な修繕工事費の総額を、毎月均等に積み立てる方式(均等積立方式)にした場合に必要な、専有面積当たりの修繕積立金である。

さらに、忘れてならないのは、国交省が「修繕積立金に関するガイドライン」を試算した当時(2011年4月)と比べて、現時点では建築費が約30%アップしている事実である。消費税も既に8%にアップし、さらに10%にアップする可能性もある。

建築費の約30%アップ、および消費税の計5%アップを考慮すると、現実に必要な修繕積立金は、国交省が必要とした金額の「1.3×1.05」倍、すなわち1.365倍に跳ね上がることになるのだ。

外部から借入する事例が増加

最近は1回目の大規模修繕時に積立金が足りず、外部から借り入れる事例も増えている。住宅金融支援機構の「大規模修繕向け融資」は新しいマンション管理組合の利用が増加。この融資に占める「築15年以下の管理組合の割合」は2012年度に17%だったが、3年後の現在では28%へと上昇している。


積立金が足りなくなる要因の一つは、修繕工事費が急激に上がったことだ。外壁補修の場合、総戸数にもよるが、総タイル張りで2013年春ごろまで1戸あたり工事見積額が80万~100万円程度だったのが、2015年10月時点では4~5割高の120万~140万円に跳ね上がった。

外壁の仕上げが吹き付けでも、2013年春に1戸50万~70万円くらいだったのが、2015年10月だと3~4割高の70万~90万円ほどだ。修繕工事で使う仮設の足場の調達費上昇も激しい。なぜなら、リースの量が限られ、建設需要が増えると料金が上がりやすいからだ。2013年春と比べ、4割ほどリース料が高くなっている。

2020年の東京オリンピックに向け、東京都内では大規模な建設案件が続く。東日本大震災の復興も道半ばで、全国的に職人が不足し、工事費が上がる要因となっているのだ。

管理会社に任せているから安心?

「修繕積立金を毎月きちんと払っているから大丈夫」「管理会社に任せているから大丈夫」、また、根拠もなく「うちのマンションはきっと大丈夫だろう」と考える人が意外に多いのも事実。もっといえば、そもそも大規模修繕工事にいくらかかるのかさえ知らず、修繕積立金を払っていることで安心してしまっている人もいるくらいだ。

そのような人が多いマンションの場合は特に注意が必要となる。「管理不全マンション」へまっしぐらとなる可能性も否定できない。


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(ファミリーオフィス編集部)

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